サンタクロースかと思ったら泥棒でした

両親が離婚したので、10歳まで私は、母の母国であるアメリカで育ちました。大人になった今では、ハーフということで割と優遇されていますが、幼少期の私はちょっと不幸でした。離婚原因は聞かされていませんが、父もかなりのろくでなしですが、母も相当のあばずれでした。何せクリスマスの夜に、ベビーシッターも付けずに小さい私を自宅に置いたまま、彼氏とデートに行ってしまうような母でしたから。

日本のクリスマスは恋人たちのためにあるようですが、アメリカのクリスマスは家族水入らずで過ごします。そんな特別な日でも、私は放置されている可哀相な子どもでしたが、そんなことは何度もありましたから、私は慣れっこになっていて、1人おとなしく、母が帰宅する朝をいつも寝て待って過ごしました。でもアメリカ生活の最後のクリスマスの夜、事件は起こりました。いつものように母は彼氏と出かけてしまったので、私は1人、静かに寝ていました。ところが深夜、玄関を開ける音が聞こえ、私はベッドの中で目を覚ましたのです。

母が彼とケンカをして、予定より早く帰宅したのでしょうか。そんなこともよくあることでした。でも母なら、いつもすぐに私の居る寝室にくるのに、今日はちょっと寝室のドアを開けて、寝たふりをしているこちらの様子をうかがっただけで、またリビングの方に行ってしまいました。もしかして、私は思いました。サンタクロースが来てくれたのかも。クリスマスの夜でしたから、私は嬉しくなって、それなら尚更、良い子の私は寝ていなければいけないと、興奮する気持ちを抑えながら、頑張って寝たのでした。

でも朝になり、泣きじゃくる母とほっとした表情の警察官に起こされました。サンタクロースだと思っていた前の晩の侵入者は、泥棒だったのです。その事件をきっかけに私は母から離され日本に来たのですが、大人になって今思うことは、あの時の泥棒がただの泥棒で良かったということです。